本書は、会議やプレゼンテーションで使う資料作成の方法について説明している。
資料の文章やイラストの作り方などピンポイントのテクニックについての説明では無く、資料の構成検討から仕上げ、それらの進め方について書いている。
上下巻からなり、上巻は原則と手順、下巻は手法と試合運びという副題がついている。
以下、メモと所感。
- 三つの大原則
資料が満たすべき3つの原則が書かれている。
- 解 動 速
- 問題解決コミュニケーション
- スタンドアローン
解 動 速は、分かっていただく、動いていただく、できるだけ速く。を意味している。
資料を作成する意味の根本であり、ここを意識しないと何のための資料か分からなくなる。
問題解決コミュニケーションは、聞き手の問題を解決する資料構成とすることを指している。
スタンドアローンは、説明無しで資料を読めば分かるよう作成することを指している。関係者全員に説明できるとは限らない。資料を読むだけで理解できるようにしておく必要がある。
- 資料のストーリーと構成
本書でのストーリーの作り方は空雨傘HTDだ。空雨傘とは、空が曇っている、雨が降りそうだ、傘を持って行こう、という思考の流れを表している。空ではファクトを、雨ではファクトから得られる洞察を、傘では洞察を基にした行動を述べている。HTDとは、how to do 傘(アクション)をどのような体制、スケジュールで進めていくかを表現している。
構成についても「テキストページ+図表ページ」という型が提案されている。まず空雨傘HTDのストーリーが分かるテキストページを用意する。その後に、各ページで空、雨、傘での主張をサポートする図表を提示していくという構成である。HTDでは、例えば線表や体制図などどのように進めていくかが分かる図表を載せる。
所感
上に挙げたドキュメントの原則、ストーリーや構成だけでなく、そのドキュメントの作成をどのように進めるかやそのときの心構えなども記載がある。またテクニックよりの話として、図表ページで使うグラフや概念図もいろいろな種類のものが紹介されている。タイトル通りドキュメント作成の全体観が学べる良書である。
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